WEB TCA TIMES  98年6月創刊号から 


長野オリンピックを終えて
長野オリンピック全日本監督 小川豊和
長野オリンピックは多くの夢と感動を私達に与えてくれた。そのオリンピックに選手団の一員として参加出来たことは至上の幸せである。オリンピックは、ボランティア、地元の方々など、多くの人たちに支えられて成功した。
平成10年2月4日、北見での直前合宿を終え軽井沢分村に入村。物々しい警備を肌で感じ、試合開始までの5日間の村内生活が始まった。入村式、開場式、学校訪問、町主催の歓迎パーティ、御代田、スカップでの練習、記者会見と分刻みで時間がすぎていった。
選手たちはこれまでの練習、対外試合で得た自信を思い出し、リラックスに努める。そして2月7日の開会式、選手団の入場行進を待っている間の、かって経験したことのなかった「ざわざわ、そわそわ」した気持ちを思い出す。2月9日、競技が始まった。日本チームへの応援が館内をこだまする。「自信を持ってやれ」と送り出す。男子はのびのびとプレーしている。しかし女子の調子が出ない。コーチが揺れる。スタッフの動きが激しさを増す。極度の緊張感が選手を襲う。選手たちは今まで積み上げたことを思い出し、全力でぶつかる。壁は厚い。選手がぶち当たり、はねかえされる音が痛々しい。それでも最後の最後まで諦めず、一投一投をプレーした。完全燃焼の瞬間が、あの男子の対アメリカ戦だ。試合のあと、選手たちと一緒に泣いた。
人に見られても恥ずかしくない涙だった。